タイのNon-immigrantビザ取得について

1年間の予定でタイの大学で在外研究することになり、2023年3月、タイのnon-immigrant RSビザを取得しました。ビザ取得は結構大変で、初めての方にとってはなおさらだと思います。そこで、私の経験談を簡単に書かせて頂きます。参考になれば幸いです。

【日本でビザの申請】

渡航予定の約半年前、タイで受け入れを希望する大学から受け入れの内諾をもらい、この大学経由で、National Research Council of Thailand(NRCT)というタイの政府機関に調査研究課題を提出しました。

その後、ビザ発給に必要な書類を揃え、渡航予定まで約1ヶ月というタイミングで、申請手続きを開始しました。私は関西在住のため、ビザ取得の手続きは在大阪総領事館で行いました。まず総領事館のウェブサイトを通じて申請日時の事前予約を行い、必要書類を携えて、調査研究用のビザを申請しました。この際、提出した書類は以下のとおりです。

①パスポートの原本とコピー

②ビザ(査証)申請書

③証明写真(4.5×3.5cm)

④Personal History

⑤NRCT発行の研究許可書

⑥受け入れ先機関発行の招聘状

⑦日本の所属先機関発行の推薦状

⑧航空券、もしくは予約確認書のコピー

この書類の中で、一番大変だったのがNRCT発行の書類を入手することです。受け入れ先大学を通じてNRCT宛てに調査研究課題を提出した後、4ヶ月ほど経ってから受け入れ先大学を通じて私宛てにNRCT発行の英文の研究許可書が送られてきました。私はこれをビザ申請の必要書類だと思い込んでしまい総領事館に提出したのですが、これはビザ発給に必要な書類でありませんでした。別途、在日本総領事宛て(もしくは在日本大使宛て)にNRCTが発給したタイ語で書かれた研究許可書がビザ発給のための書類として必要になります。

また、上記⑤から⑦の書類は原本でないとビザは発給してもらえません。このため、⑤の研究許可書の原本を入手するために、急遽、受け入れ先大学の国際交流課に連絡を取りましたが、「この書類は直ぐにはNRCTに発行してもらえない」という回答があるのみでした。出発日が迫っていたので、直接NRCTにメールを書き、総領事宛ての研究許可書の発行をお願いしました。幸いNRCTの担当の方には親切に対応して頂き、何とか渡航前にこの原本を総領事館に提出することはできました。

この際、総領事館には1年間有効のマルチビザを申請しましたが、実際に発給されたのは3ヶ月間有効のシングルビザでした。発給の際、総領事館の方からは「渡航後に現地でビザの切り替えを行ってください」と言われました。このときなぜ総領事館でマルチビザが発給されなかったのかについて特に説明はなく、結局、理由も分かりませんでした。最近、タイはビザ取得を厳しくしているそうなので、その一環なのかもしれません。

【現地で再入国申請】

1年間の滞在予定のため、3ヶ月ビザのまま滞在していると当然、オーバーステイの状態になってしまいます。このため、現地到着後、ビザの延長申請を行いました。但し、「入国直後に延長申請はできない」というインターネット上での情報もあり、タイミングを見て延長申請を行うことにしました。

延長申請までの間に、日本に一時帰国する用務ができたため、再入国許可の申請を行いました。この申請をしないまま、出国してしまうと、その時点でビザは失効してしまいます。このため、ビザを持っていてビザの残存期間中に一時的に出国する必要がある方は気を付けてください。

再入国許可申請は、バンコクではイミグレーションでも空港(スワンナプーム・ドンムアン)でも行えます。私は結局、イミグレーションとスワンナプーム空港で1回ずつ再入国許可申請をしましたが、所要時間はイミグレーションでは2時間半、空港では15分程度だったので、空港の方が圧倒的に短く済みます。

再入国許可にはシングルとマルチの2種類があります。シングルは出国1回のみ有効、マルチは複数回有効という違いがあります。費用はシングルが1000バーツ、マルチは3800バーツでした。私は3ヶ月ビザのときにシングルを1回取り、1年ビザに延長してからマルチを取りましたが、費用のことだけを考えると、ビザ有効期間中に4回以上出国する予定がある方は最初からマルチを取った方がお得です。

なお、スワンナプーム空港では手荷物検査の後、出国審査の前に再入国許可申請を行いますが、複数ある出国ゲートの内、中央のゲートから出ないとこの申請はできません。私は中央の出国ゲートに行き、念のため係員に「リエントリーパーミッション」などと言って、申請できるかを確認した上で、出国ゲートを通過しました。ちなみに、再入国許可申請に必要な書類は以下のとおりです。

①申請書(TM8)

②証明写真1枚(4×6cm)

③パスポートのコピー(顔写真、ビザ、最新入国スタンプの各ページ)

【現地でビザの延長申請】

渡航してから72日目にバンコクのイミグレーションでビザの延長申請を行いました。色々なウェブサイトにも記載されているように、イミグレーションはだいたい非常に混んでいます。このため、もしその日のうちに、できれば午前中に延長申請を終わらせたいということであれば、やはり早めに行って並ぶ方が無難でしょう。私は朝5:00頃にタクシーでイミグレーションに到着しましたが、それでも8番目でした。私が行った日は7:00過ぎまで整理券が配布されており、この整理券をゲットできれば、整理券が配布される場所近くに置かれている整理券の番号が付いた椅子に座って、業務開始の8:30を待つことになります。整理券をもらえない場合は、入口近くに自然発生的にできる列に並んで、整理券組が入場した後に、中に入ることになります。なお、イミグレーションは時間指定の事前予約もできるので、予め日程が決まっている方は予約するという選択肢もあります。

8:30になると、イミグレーションの扉が開き、中に入ることができます。そこで改めて係員から番号札を渡されるので、そこに記載されている場所に行って、自分の番号が電光掲示板に表示され、番号が呼ばれるのを待ちます。1時間ほど待って、ようやく自分の順番が来て、結局、ビザ延長されたパスポートを受け取ったのは10:00頃でした。なお、ビザ延長に際して提出した書類は以下のとおりです。

①申請書(TM7)

②証明写真1枚(4×6cm)

③パスポートのコピー(顔写真、ビザ、最新入国スタンプの各ページ)

④NRCTからのレター

⑤Acknowledgement of Term and Condition for a Permit of Temporary Stay in the Kingdom of Thailand

⑥Acknowledgement of Penalties for a Visa Overstay

⑦滞在アパートの契約書

最後に、私は約20年ほど前、イギリスの大学院に留学するために1年有効の学生ビザを取得しました。そのときのビザに関する記憶は、年数が経っているので既に曖昧なのですが、ほとんど忘れてしまうほど手続きは煩雑ではなかったのだろうと思います。それに比べて、今回、タイのビザを取得することは非常に大変だった、というのが率直な感想です。

中でも一番困ったのは、自分では準備できない書類がいつ入手できるか分からないということでした。私はタイ渡航の半年前から少しずつビザ取得に向けて書類の準備を進めていたのですが、それでもビザ発給は結局、渡航の直前になりました。時間には余裕を持って、計画的に自分でできる準備を進めることに加え、受け入れ先の機関に書類作成を依頼する際には、関連して必要になる手続きや書類について、その都度何度も確認することも大切だと思います。

なお、ここまで記載した内容は2023年3月から7月までの経緯を纏めたものです。ビザについてはタイに限らず、発給条件が突然変更されることがあるので、申請に際してはタイ王国在日本大使館や総領事館、そしてイミグレーションのウェブサイトを見て、最新の情報を確認して頂ければと思います。

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